終わりの気配

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「終わりにしようか」  彼女がそう呟くような声量で僕に伝える。  何となく気づいていた終わりの気配に覚悟はしていた。  例えば、どちらかに分かりやすい欠点があれば、直すことが出来たのかもしれない。  或いは諦められたのかもしれない。  けれど、なぜ終わるのかを言葉にできずにいた。  あえて言葉にするならば、何となく合わないと言うのが正解だろう。 「うん、分かった。どうか幸せになってください」  僕はそう言って、彼女の手を離した。  ただ一言「終わりたくない」と言えなくて。
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