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二人は高校からの同級生で、遼馬は野球部員瑠夏はマネージャーの関係だった。友人から瑠夏は遼馬が好きなんだよ。と言われていたが、野球部員とマネージャーという関係以上に思えなかった。
大学も同じで野球部員とマネージャーという関係はそのままだった。長い付き合いだから仲良い友達という間柄ではあったが……。
遼馬は高校、大学、誰とも付き合うことがなかった。それは、瑠夏も同じだ。友人には野球と勉強で忙しいから、そんな暇ないと話していたが……ホントは違った。
有名企業に就職して、忙しさで瑠夏と会うこともなかったが、大学時代の先輩の結婚式二次会で瑠夏と再会した。
大学時代の野球部友人たちから、瑠夏のこと考えてるのとか、めちゃくちゃ可愛い瑠夏からあんなに思われてるの羨ましい、気持ちに応えろよ。とか、外堀を埋められた感はあったが、
バレンタインの日。瑠夏から告白された。
こんなに自分を思ってくれてることが、素直に嬉しかった。そして同時に瑠夏を愛おしいと感じた。百%好きで付き合うもんでもないよ。付き合ううちに愛は生まれるもんだからさ。と誰かがキザなこと言っていたな。
曖昧な気持ちで交際がスタートしてしまった。
「ねぇ、遼馬、遼馬ったら」
「あっ」
「もーうわの空。なに考えてたの?」
「いや、んー」
「あっ家に挨拶来ることでしょ」
遼馬は苦笑いした。
「気にしないで、気軽に来てくれたらいいの。ママ料理が趣味なの。誰かに振る舞いたいだけだから」
(次はパパとママに外堀を埋めてもらわないと)
瑠夏は薄笑いを浮かべながら、赤ワインに口をつけた。
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