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「……後は? 他にも何か条件あんの?」
「タイムリミット。天が18歳になるまでに晴が天を選ばなかったら、スッパリ諦めてもらう。そうでもしないと終われねえだろ」
母ちゃんの言葉になんとなく納得した。
天がどんなに頑張っても、恐らく俺と同じように大学に進むのは無理だ。
そうなれば天は就職、俺は進学。
大きく道を違える前に決着をつけさせて、新しい生活の準備をする時間をやりたかったという事なんだろう。
「これだけ条件付けて、それでも晴が天を選んだら、それはもう誰かがどうにか出来るもんじゃない。だから二宮さん……天のお父さんとも相談してこれらの条件を決めたんだ。今日の事も連絡してある」
「知らなかったのは俺だけか……これ、何年計画で進行してた?」
「天が11歳でその……二次性徴があってからだから、もう6年くらいになるな」
父ちゃんの言い淀む様子を見て、俺は自分のニブさに呆れ果てた。
そんなに長いこと全く気付かなかったっていうのか……
「俺の激ニブ大王……」
「違う。超絶激ニブすかぽんたんカタブツ大魔王」
さらっと訂正する流れるような吉田の悪口に、同意せざるを得ない。
「もう私らも半ば諦めてたんだ。天が助っ人を頼んで波風立てたって言ったあたりから、晴の様子がおかしかったし。とうとう自分の気持ちに気付いちまうんじゃないかってね」
「な……待てよ、それじゃ俺がずっと……」
はぁ、と天以外の全員が深くため息をついた。
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