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「あれだけ天ばっか見てて、何とも思ってねえわけがねーだろ」
「入学直後から薄々わかってた。腐女子の勘をナメないで」
「ヤケに面倒見のいいヤツだと思ってたけど、言われてみたら……お前ずっと天の事見てたからなぁ」
兄貴、吉田、タキと矢継ぎ早に言われる。
もう何も信じられない。
俺以外の人間の方が、俺の心の中を知ってるとか……
「恥ずか死ぬ……」
「だめ。もう逃さない。やっとオレの晴ちゃんになったんだから」
にっこり微笑む天のほわほわな笑顔に、どこか黒い物を感じる……いよいよ何も信じられないぞ。
人間不信になっちまうぞ?
「一浦、大丈夫。二宮くんにはちゃんと色々レクチャーしておいたから!」
親指を立てて良い笑顔を見せる吉田の言葉に何のことだと首を捻ると、タキが耳打ちしてきた。
「天は女子については経験済みらしいから、気を付けないと処女持っていかれるぞ」
「処女って……待て、逆だろ!? ってか、天、お前……経験者ぁ!?」
嘘だろ、あの天が……?
誰とだよとか、悔しいとかよりもただ衝撃が強くて呆然とする。
天は相変わらずぽやっとした顔でへろっと応えた。
「女の子から迫られて、雷ちゃんにどうしたらいいって聞いたら、晴ちゃんは知らなそうだからさせてもらっておけって」
「なんか……色んな意味で負けた気がする」
並の女よりずっとキレイで、ほわほわな天が「男」になってたなんて……
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