エピローグ

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「晴ちゃん……『明日は晴れますか?』」 「……天はどう思うんだ?」 『明日は晴れますか?』が吉田の言うとおり『気持ちを受け入れてくれたら心が晴れます』ならば、答えはわかりきっている。 でも、なんて言ったら良いのか悩んだから、これは時間稼ぎだ。 「……お日様に出てきてほしい……」 拗ねたように言うのが可愛らしい。 考えるより先に動いて、天の唇にキスをした。 触れて、軽く吸うとリップ音が静かな部屋に響く。 「これで晴れるかよ?」 「うん! 絶対晴れる!!」 恐ろしく満足そうな笑顔で俺の天気予報の王子さまは元気に明日の天気を宣言し、750ccのカボチャの馬車に乗った金髪の灰かぶり姫は、明日からの日常という名の舞踏会もきっと賑やかだろうと思う。 だってそうだろ、家族にも友達にも全部バレてるんだからさ。 「明日も、明後日も、その先もずっと晴れだな」 俺達は顔を見合わせて、ただ晴れやかに笑うのだった。 了
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