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危なかった、今のは完全にその、アレだ……いわゆるキ……キスするところだった!!
後一秒正気に戻るのが遅かったら、絶対してた。
吉田とのやり取りを見てからどうにも感情が暴走しそうで、危ない。
10年も無かったことにし続けて来たのに、隠しきれない、押さえが効かなくなっている。
ダメだろ、どう考えても。
ずっと兄弟みたいな存在として接してたのに、妙な気を起こして拒絶されたらもう戻れないんだぞ。
心音が止まらない。
いや、止まったら死ぬんだけど。
ダメだ、頭の中がパニック起こしてて、自分でも何考えてるのかよくわかんねえ。
「晴ちゃん、にらめっこの練習?」
「うるせー、この石頭! 課題は終わってんのかよ?」
俺の百面相にツッコミを入れるコイツが、数秒前に何されそうになってたかも知らずに呑気な顔を見せる。
わかったら、どんな顔をするんだろう。
知りたいけど、失うものが大きすぎて踏み込めない。
「あとちょっと……これ、わかんない」
「あ? どこだよ?」
「電気……」
室内が暗すぎて、流石に文字はよく見えない。
電気を点けてやると、天は眩しそうに目をしばたかせた。
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