プロローグ

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プロローグ

俺の初恋は幼稚園と小学一年生の間の春休み。 隣の家に越してきた美少女が相手。 「おれは一浦 晴(いちうら はれ)、お前は?」 「(あめ)二宮 天(にのみや あめ)」 引っ越しの挨拶で、綿あめみたいなほわほわの笑顔を見た瞬間……幼かった俺は恋に落ちた。 背中の真ん中までのふわふわした青み掛かって見える長い髪、同じ色の烟ったような大きな目。 どこからどう見ても絶世の美少女。 だけど、俺が惚れたのは見た目だけじゃない。 口数が少なくおっとりした天は、それはそれはおしとやかな子だった。 やんちゃ坊主の兄と、元レディース総長の母親を持つ俺にとっては全く別世界の生き物だ。 けれど幼稚園の女の子達とも違う。 幼稚園の女の子達はキャーキャーうるさくて、ちょっと何かあるとすぐ泣く。 天は誰よりも女の子らしい姿をしてるのに、虫やカエルを見てもきょろんと大きな目を見開くくらいで騒がない。 むしろ楽しそうにしてる。 身体の大きい奴に怒鳴られたって、平気な顔だ。 間違ったことは間違ってる、好きなものは誰に否定されても好き。 しっかり芯が通っている。 ぽやっとしてるけど、何にも怯まない肝のすわったところにも惚れ込んだ。 あまりの可愛さに出会って1週間で結婚の申し込みをした。 絵本の中のシンデレラより絶対きれいなお姫様になるって思ったから、俺が王子さまになるって約束したんだ……が、この初恋は僅か2週間で終わった。 理由は簡単、その美少女が実は美少年だったということが小学校の入学式で判明したからだ。 ちゃんと終わらせたんだ。 だから俺と天は、お隣さんで幼なじみ。 ただそれだけ……のはずなんだ。
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