板挟みの秋

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 吉田さんはぱっと顔を輝かせて、黒川さんの手を握った。 「それは助かります。そうだ、黒川さん。前に教室で、パソコンを勉強されてましたよね。私、パソコンは得意ですから、よかったら今度、お教えしましょうか?」  黒川さんも笑顔を浮かべて、「吉田さん、ありがとう。ぜひお願いしたいわ」と言った。そして吉田さんの手を、ぎゅっと握り返した。  私はお二人の様子を見て、胸が熱くなった。私が始めた小説教室をきっかけに、みなさんの交流の輪が広がっていくのが、とてもうれしかった。  これからもこの小説教室を楽しく続けていきたいなと、私は改めて思った。  その時秋の涼しい風が吹いて、庭のイチョウが揺れた。すると1枚のイチョウの葉が、私が持っていた紙コップのお茶の上に落ちた。  それを見て、私は「やっぱり秋って、いいわね」と笑った。                                     (了)
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