房の中で

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彼の口から自分の罪のことが出たのはそれからすぐのことだった。 それは看守が一日何回か来る最後の見回りに来た後のことだった。 もうとっくに消灯時間も過ぎていたし声を出して話すのもバレる恐れがあるのでと寝ることにした。同意の返事が返ってきた。 横になると隣から小さく声が聞こえた。寝言だろうか。そうではなかった。 麻薬、友人に裏切られ、逃走、自分だけ、あんなことやらなきゃ、と幾つかの言葉が聞こえたからだ。彼は恐らく自分の罪を話していると気づくのにそう時間は要さなかった。 俺は壁の方に寄り耳を澄ませた。 聞こえた言葉から推測するに彼は友人から麻薬を勧められ、断れない性格故にドラッグを貰ってしまった。その友人らがドラッグに手を染めていたのを知ったのはその時だったらしい。これをどうしようか、と思いながら売るわけにも捨てるわけにもいかず仕方なく家に持ち帰った。そして棚の奥に入れて鍵を閉めた。 それから半年が経ちもうドラッグのことなど忘れていたという。そこで何の気なしにテレビを見ていると麻薬服用の人物が逮捕されるニュースが流れていた。 彼は冷や汗が身体を流れるのを感じた。 それから警察が来たのはすぐのことである。 かつての友人は麻薬を利用して恨みのある人間に復讐をしていた。 恨みは自分の顔と性格から来たもので一種の逆恨みだったらしい。 麻薬に染められた友人は彼を見る周りの目を白色に染めかえてしまったのだった。
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