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エピローグ
高橋はあの時、セトにかりそめの恋をしていた。
彼の背中がとても頼もしく見え、声をかけた。
彼はとても良いヤツで心の底から尊敬していた。
──尊敬?そんなものじゃない。あれは……。
これは墓場まで持っていくことになるだろう。
身元も分からない男性の話は。
でも俺は信じている。
彼がここへ来ることを。
新調されたスーツを身に纏い高橋は扉を開ける。
彼の元にどんな未来が待っているかは分からない。
ただ一つだけ言えることがある。
セトの願いは届き、彼は自分の意思を貫き堂々と生きている。何者にも染められずに生きている。いや──。
たった一色の黒にもう染められている。
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