4人が本棚に入れています
本棚に追加
今日同窓会で会った友達は、自分磨きをして綺麗で可愛かった。彼女たちのことを羨ましく思わないと言えばそれは嘘になる。私だって綺麗でいたいし可愛くいたいと思う。
だけれども、私には、私だけのしあわせがある。
悠斗がいて、みはるがいて。
これでいいんだ。私が大事にしたいのは、この場所だ。
「おかあさん、手洗ってうがいしてくる!」
「はーい!」
洗面所に入って、おろしていた髪をもう一度、今度はひとつにきゅっと結んだ。ピンク色のワンピースを脱いで部屋着に着替える。
洗面所の鏡に映った自分を見て、今度は逆に笑顔が零れた。
胸を張れ、美香子。あんたはあの頃から変わってない。
ちゃんと綺麗だ。美容に気をつかってなくたって――私は、私だから。
「よーし、洗い物しちゃうぞ!」
「みはるも手伝う!」
「だからみはるは寝る時間だってば!」
私が美容から離れたのは、だいすきな悠斗と、だいすきなみはるのためなんだから。
<了>
最初のコメントを投稿しよう!