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久しぶりに大好きなワンピースに身体を通した。くすみピンクのワンピース。背中のファスナーを上げるとき、少しだけきつく感じて、洗面所でひとり苦笑を零す。
鏡の中で笑っている自分がずいぶん年上に見えて慌てて顔を近づける。見間違いかと思ったけれど、やっぱり映っているのは自分自身。
学生時代はこれでもミスコンにエントリーされるような人間だったのに、社会人になって日々ストレスに揉まれて、この体たらくだ。肌も毛穴が目立ってきたし、髪に至っては生え際に一本白髪を見つけてしまった。
「……やめよ」
すっぴんの自分の顔と向き合っていてもネガティブになっていくだけなので、棚の奥深くにあったメイクポーチからファンデーションやらアイシャドウパレットやらを取り出して、記憶をよみがえらせるように化粧をしていく。
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