4人が本棚に入れています
本棚に追加
「そっかなぁ、だって美容院高くって。最近まともに行けてないんだよね」
「最後に行ったのいつ?」
「ええっと……半年前くらいかな?」
「えーっ、あの美香子が半年も美容院行ってないの?」
あの美香子。
それは今目の前にいる私じゃない。10年も前の、キラキラして青かった私のこと。
私だって成長したんだよ、少しは。
そう思って、あれ? と思い返す。
煌びやかだった私がそうじゃなくなったのって、もしかして、成長じゃないんじゃない?
それじゃあ、今の私は――何?
「可愛いお人形さんみたいだった美香子も、ちゃんと人だったんだなーって思って」
「そりゃそうだよ。私だって年くらいとるさ」
「そう言えばさ、そのワンピース、前も着てたよね。美香子、物持ちいいね」
あのさ、好き勝手言ってるけどそれ誉め言葉じゃないからね?
そんな言葉も、私にとっては悪口に聴こえてしまう。服もメイクもずっと流行りを追っていた美香子が普通になっちゃったと言われているようで。
お気に入りのワンピース。お酒がまわってきたせいか、少しだけくすんでみえる。こんなに地味だったっけ。
最初のコメントを投稿しよう!