二人の時間

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二人の時間

裕翔は気が付いていない・・・・・・篠宮海飛が他の患者も同じように朝も昼も夕方も診察に訪れていると思っていた。 先生に逢えるのは嬉しかった・・・・・無機質な病室でやることと言えばリハビリと投薬・・・・・一日TVを見ていられるわけもなく先生が来てくれるのを朝起きた瞬間から心待ちにしていた。 あの優しい笑顔を見るたびに銃撃されてこの病院に運ばれて良かったとさえ思えてくる・・・・・・痛みも怖さも先生に逢うためなら我慢できると思った。 今夜も篠宮海飛は裕翔の部屋へ行く・・・・・ 今日は夜勤で救急担当だった・・・・・・いつ患者が運ばれてくるかわからない・・・・・・22時になって裕翔の部屋に行くと裕翔はベッドを起こして待っていた。 ベッドに座っている裕翔と話をする・・・・・・今では寝るのが不安な裕翔に寄り添うと言うより一緒の時間を楽しんでいた。 話す事はいくらでもあった・・・・・・笑うと傷が引き連れて痛がる裕翔を見てこんな時間に患者と話をしている自分は医師としてどうなのか?と思う・・・それでも一緒にいる時間が楽しかった。 不安な夜に少しでも安心して眠れるように・・・・・寄り添うつもりで訪れていたはずが今では楽しいおしゃべりに花が咲いていた。
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