両片思いの二人

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両片思いの二人

裕翔の退院が決まった、あと3日・・・・・・そう思うと裕翔の顔を見るのが辛かった。 話をしていても退院してからの事が心配で・・・・・もし何かあったら直ぐに来てほしい・・・・・自分へ連絡してほしい・・・・・そう言った・・・・・だからといって患者に個人の電話番号を教えるのは通常ではない・・・・・。 どうやっても患者と医師の関係でしかないと思わずにはいられなかった・・・・・・その領域は超えられない。 裕翔が掴んだ手を強く握った・・・・・思わず握り返して・・・・・慌ててしまう 言ってしまいたかった・・・・・・ 好きだと・・・・・また逢いたいと・・・・・ 「退院のお祝いを二人でしよう」 「仕事が終わったら二人で食事しよう」 「休みの日に何処か行こう」 「今夜電話する」 「次いつ会える?」 こんな会話ができたら・・・・・・どんなにいいだろう。 想像してみただけ・・・・・・それが実現することはない・・・・・・ 月曜の午前中に退院した・・・・・・彼は診察中で逢えなかった。 会計を済ませ職場の人が迎えに来てマンションまで送ってもらう・・・・・・これでもう終わり・・・・・ 1月半留守にした部屋の窓を開けて新しい空気を入れた・・・・・・窓から見る青い空が眩しかった。 一週間の休暇で仕事復帰は来週からとなった・・・・・・入院中の衣類やタオル洗面道具の片づけ・・・・洗濯。 冷蔵庫の中も片付けないと・・・・・・仕事に出たまま入院だった・・・・・・空っぽの冷蔵庫にはペットボトルの水が数本・・・・・・仕事もしばらくは内勤だから定時で帰る・・・・・ できる事なら余計な事を考えないで忙しく仕事をしていたかった・・・・・・時間があれば逢いたくなる・・・・・・
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