84人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
覚醒
白坂裕翔はぼんやりとした意識の中で薄く目を開けた・・・・・・見えるのは白い天井・・・・身動きのできない身体・・・・・またすぐに目を閉じた。
目を閉じて耳を澄ます・・・・・・目を閉じると目の前には始めて見る光景が広がっていた。
白い壁に緑の鮮やかな葉が綺麗だった、ぐるりと周囲を見る・・・・どこかの部屋のようで・・・・・・自分の目で見ているのかそうじゃないのかわからなくなって目を開けて見るとやはりそこは白い天井の病室だった。
また目を閉じる・・・・・・見たことのない光景が広がる・・・・昔見た映画のような光景。
夢なのか現実なのかさえ分からない・・・・おぼろげな意識の中また目を閉じた。
少しづつ意識が戻る・・・・・・手が動かせない・・・・・・誰かがペンライトで瞳孔をチェックする。
麻酔が完全に諫めても意識はまだぼんやりとしていた・・・・・看護師が来てモニタをチェックする。
「就寝中に気管チューブを外さないように拘束してます、意識がはっきりしたら外しますからもう少し我慢してください」
手術から2日経ってやっと自分がどこにいるのかが認識できた・・・・・・自発呼吸ができるようになって気管チューブを抜いた・・・・・・嫌な感触と喉の痛みがあったがそれでも手の拘束も無くなって少し楽になった。
気管挿管のチューブで掠れた声・・・・・のどの痛み・・・・水分を少しづつ喉に流し込む。
点滴やその他の装置はまだ付けたままだったし身動きも出来なかった。
口の中が乾いて唇も乾燥していた・・・・・・看護師が来て口腔内を小さなスポンジの付いた棒で洗浄してくれてそのついでにスポンジで水分をくれた。
「ここは何処だかわかりますか?」
「・・・・・・病院」
「今日は何日かわかりますか?」
「・・・・・・5月・・・・・・??」
「今日は5月10日・・・・・手術して今日
で4日ですよ」
日に何度も看護師が来て同じ質問をしていく・・・・・・モニタを見て尿の量をチェックして瞳孔を見て血圧をチェック、パルスオキシメーターで血中酸素飽和度を計測・・・・・・
ICUに4日いてHCUへ移動した・・・・・・どちらも常に看護師が側で仕事をしている・・・・・・・
何か異常を感知すると装置のブザーが鳴って看護師が走る。
最初のコメントを投稿しよう!