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若葉
暮れ始めた茜空。オレンジ色の夕陽が私の胸の鼓動を高め、赤く染めていく。
「もう、黙っていられない。行くか」
(この胸の作用を抑えるには、あの瞬間の気持ちを繰り返すしかない)
私はオンボロの軽自動車に飛び乗り、田舎の高速道路のICをくぐる。
やがて中央道への合流点へと達する。
「この感覚なんだよな」
(初めて合流した時はドキドキだった)
私は次の日も、また次の日もその作用を繰り返す。
そして、毎回、その先で田舎町から合流してくる若葉マークの車を入れてあげるため、速度を緩めるエンジンブレーキ##
ある日、合流してくる若葉マーク車が、助走レーンで止まってしまった。
「あれは、危ない」
私は、バックミラーを見てその若葉をチェックする。
オレンジ色の夕陽が私のサングラスに乱反射した影響か、錯覚かと思われたが、その若葉マーク車を運転していたのは、間違いなく…。
私の顔は青く染められていく。路肩の黄色い向日葵が揺れ散り、ボンネットに頭を垂れる。
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