9.新しい季節

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「お前のやだは気持ちいいの間違いだろ。ほら、どうだ?」 「ん、んんっ……ぅ」 内臓がまるで振動させられているみたいな刺激だ。若王子の先端が奥をノックしたまま、ゆるやかに動く。そして、時折腰を引かれて、一気に貫かれた。 「あんっ! だ、だめっ……」 伊万里ははしたなく嬌声を上げることしかできない。 「——…悪いな」 一瞬、謝られた理由が分からなかった。敏感になっている中を激しく穿たれる。声が引き攣った。もうまともに言葉を発することも出来ずに、伊万里に出来るのは与えられた衝動を受け入れることだけ。 「死ぬほど気持ちよくしてやるよ」 「い、いやだ、もう、むり……っ」 振り切ったメーターは戻らない。 これ以上上がらない、というところまで持ち上げられた快楽は持続し続けている。発情期でもないのに、止まらない。もう死にそうなのに若王子は止めてくれない。良すぎておかしくなってしまう。腰を掴まれて激しくされた、ただ揺さぶられている。糸の切れた人形みたいだ、でも彼になら全部委ねられる。彼がいれば、他には何も要らない。そういう閉ざされた世界で、ふたりきり。甘い楽園で揺られている。 「伊万里、好きだ」 苦しそうに若王子は眉根を寄せている。けれど、口にされた言葉はとことん甘い。もしかしたら伊万里に聞かせようとした言葉ではないのかも知れない。ただ零れてしまったような、吐息みたいな台詞。 若王子の目も声も蕩けている。限界が近いのだろう、熱のこもった視線に当てられて伊万里はただ彼のことが好きだな、と思う。汗で纏わりついた額に前髪が張り付いて、色気が滴る。いい男だ。色男が乱れる姿に、伊万里も興奮している。 「先輩、好きです、ずっと、ずっと……」 好きが止まらない。待って欲しくて伸ばした手すらシーツに縫い留められてしまい、救済を求めてキスをした。欲望も愛情もあふれ出す。発情期でなくとも、二人は朝まで抱き合った。
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