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「誰?」
その光の先から聞こえた声は、サイダーとコーヒーを足して二で割ったかのような声だった。透明なのに、トーンが少々低い。
あたしは顔を上げてその声の主を見た。
背は同じくらい。顔立ちはすこぶる綺麗だ。髪は肩のあたりで均一に切られていて、その漆黒は絵の具のように艶々と輝いている。目は少しとろんとしているが眼光は鋭い。そのビー玉のように澄んでいる瞳に映るあたしは、さぞかし汚れているのだろうと思えるほどだった。
「ねえ、誰なのかって聞いてるんだけど」
彼女の鋭い瞳が左右非対称に歪んだ。
「えっ……あ」
「もしかして、口がきけないの?」
彼女が肩をすくめた。あたしはかあっと頬を赤らめる。
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