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「ち、違う! ただちょっとびっくりしただけで」
「びっくり? 私の方がびっくり。人の家で何をしているのかしら?」
人の家? ……いや、こっちが何を言っているのか聞きたい。
あたしは思わず顔をしかめた。その時、あたしは外の景色を見て思わず
「は」という間抜けた声を半開きの口から漏らした。
一帯が、田んぼになっている。
あたしは扉の前で仁王立ちをしている彼女を押しのけて、無理矢理庭先へ出た。
「ちょっと」
あたしが逃げるとでも思ったのだろうか。彼女はあたしの腕をがしっと掴んで、ぐいっとそちらへ引き寄せる。
「どうして」
いくら周りを見渡しても、視界にあるのは田、田、田。老夫婦が営んでいる床屋もないし、この年になってもまだ飴をくれる向かいのおばさん家もない。
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