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祖母が死んだ。最悪の夏だ。
あたしはベットに身を投げて、薄汚れた天井を見つめた。針の音だけが嫌らしく耳につく。
祖母が死んだ。
根っからのおばあちゃんっ子のあたしには、無論、受け止められないことだった。
二歳で母親と死別し、父親にも見捨てられ、行く当てのなくなったあたしを引き取ってくれたのが母の母――つまりあたしの祖母だ。
あの人と過ごした十五年は、人生の三分の一にも満たないのだろう。でもその十五年があたしの人生の中での最盛期だ。それはこれからも変わらない事なのだと、あたしは確信している。
だから、祖母がいない夏なんて――人生なんて、今もこれからもきっとつまらなくて、虚しくて、悲しいのだろう。
ああ、あたしはまた独りぼっちになってしまったのだ。
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