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「……だったら」
あなたがリュックサックからクッキー缶を取り出した。
「このクッキーを食べてくれ。これには眠るように死ねる薬が含まれているから。痛みも……ないから」
「ありがとう」
私は水筒からよく冷えた果実水を注ぎ、ゆっくりと飲み干した。その様をあなたは射るような瞳で見つめていた。そして私はクッキーを口にした。バターがたっぷりと使われている、私の大好物のクッキーを。
食べ終え、私はレジャーシートの上に寝転んだ。見上げた葉桜に、これが満開の桜だったらと少し残念に思った。
「今までありがとう」
私は笑みを浮かべたまま瞳を閉じた。
「ありがとう。そして……さようなら」
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