0人が本棚に入れています
本棚に追加
張本人が専売特許を喪失すると言うのも、ひとつの進化論だ。地獄の業火に焼かれるかのように人は過去の虚像に苛まれ、軈て光を浴びる。私は雄輝に光を見たのだ。「一億円渡せ…平木さんから聞いたぞ…空輝。一億円持ってるらしいな。その背中の羽が何よりの証拠だってばよ。」雄輝は横目で私の羽を見ていた。…構わない。雄輝になら一億円渡しても良い。私は飛び回りたいのだ。「ゆ、雄輝…分かるのか?ほら、通帳だ。暗証番号は4630だ。」私は一億円を雄輝に投げやらんとしていた。「あっははっ!サンクス!空輝。お金持ちは警戒心強いが、空輝にとっては端金だったんだな。レベチ確定でござんす!この鈴木雄輝をお忘れなくっ!」雄輝は通帳を私から奪い取り、逃げるように駆けていった。「あっははっ!雄輝…気持ちの良い男だな。」私はどうやら、一億円の余韻に救われているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!