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〇2左右対称
「いい加減にしてよ」
私が仕事そっちのけで、自分磨きのための資格本やファッション雑誌を読みあさっていたので、ケイコ先輩は呆れて注意した。
「自分磨きをしないとマズいんですよ」
と大げさに泣きすがったが、先輩は「仕事の時間外にやれ!」と聞く耳を持ってはくれなかった。確かにその通りなので返す言葉もない。
お店が閉まった後、先輩が私を呼び出して「そんなに自分を磨きたいなら、勉強してみない?」と、フラワーアレンジメントの教室のチラシを見せてきた。
「自分磨きをするならまずは仕事だよ、仕事。あんたセンスが壊滅的なんだから」
店長に相談してみると、お花屋にとっては必ずしもフラワーアレンジメントの技術は必要ではないらしい。
「フラワーアレンジメントはどちらかというと美術品で、お店の商品アレンジとは全然違うんだけどね」と店長は否定的だった。
だが、私のセンスがあまりにも酷いという事情もあるので、少しは勉強になるだろうと、結局通うことになった。
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