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飲料はペットボトルの水一本とラッシーが一杯
一人一皿小鉢に乗った唐辛子とハバネロはおしんことして完食しないといけない。完全ノックアウト方式なデスマッチ。
世界広しといえどもこんな女子会はないでしょう。
久々の再会なので会話を成立させ、続けないといけないのもルールだが、男子の僕は会話についていけないであろうから免除。
あくまで女子会らしく、ヒ〜ッとかハーッて言っちゃだめなんだって。
完全ノックアウト、水分を全て空にしてもだめ、唐辛子又はハバネロ残しも負け、ヒーとハーは減点 会話が流暢なのは芸術点が加わる採点方式。
審判はもちろんこの方、ゴーグルマスク姿の母親、独断の審判員だが、どっかのプロスポーツ審判員よりは公正でやる気あるだろうから見習って欲しい。
「それでさ、この間、あったわけ〜」
幸が麻婆豆腐を蓮華一杯分口に運んで話を始めデスマッチが始まった。
「うんうんそれで」
お姉ちゃんが元亭主話に食いつく姿勢を見せながら激辛タコスの中身が出ないようにほうばった。お上品に小口に分けて食べようと思ったが、中身が溢れそうなので一気食い。刺激が右目に現れた。食卓脇に立って目を見張る母親が厳しくチェック。身内にも容赦ない姿勢だ。
「かっこいいし、料理上手、世話好きなのにもったいないよね」
ななみは幸を牽制。赤い焼き飯を先に小皿に盛り付け麻婆をかける。辛さましまし麻婆飯をぺろり。ぎろり、幸は元亭主を肯定し、辛さで勝ろうとするななみに対抗心を燃やす。
ちり子は男の話は不得意のようだ。食いに走る。
カレシよりカラシ!!マスタードベタ塗りホットドックを子供のように嬉しそうに食べる。
しりごむ僕によき姉を演じるお姉ちゃんがチゲ鍋をよそって渡してきた。無言の圧力。会話を免除されているのだから食べなさいと審判の目は厳しい。
「ブホッ」大幅減点、母親に指を指される
「あつい」必死に誤魔化す。審判は首を振る。
激辛ペヤングは比にならない辛さ。
中和剤に選んだのは冷えたタコわさ、
水分はまだ早い。
ひんやりしたタコが舌に乗っかる。熱が解放される。ただ、それは一瞬で、舌先が敏感にわさびへの危険信号を警報発する。
市販のタコわさびじゃねーぞ!!
「あいつね、仕事も出来るんだよね。物腰柔らかいし、いざって時に頼りになるし」
「もうしぶんないじゃない」
「スパイスが足りないんだな」
ちり子の発言に審判が人差し指を出した。ポイント獲得!低レベルで使い古された文句だが、そういう側面があるのが判明。
お姉ちゃん豚キムチとグリーンカレーを盛り付けた。
幸が魚の煮付けと白飯とタコわさび。
ななみがタコスとホットドックにデスソースをぶっかけで加点狙い。
ちり子が唐辛子をじゃがりこのようにかじる。
皆様、平気な表情だが、滴る汗は我慢出来ない。声には出さないが、お口の中は大炎上中しているようで、わずかにでも低い温度の外気を吸う回数が増えている。
我慢比べ。合わない亭主と我慢してきた女性陣だ
「休みは朝市行って魚買ってきて、夕食の出汁をしこんじゃったりさ。熱心なやつだったよ。自家製ラーメン美味しかったけど、喧嘩勃発よね」
「あっはっ〜、あんっ〜たが、ふっ〜、唐辛子ぶっかけるからでしょ」
お姉ちゃんグリーンカレーに苦戦、思わず母親を睨む。逆恨みだー。
「だってさ。前も食べたことあるし、同じ味でしょう」
母親は幸を指を指す。これは料理人として許せない発言とみた。
そして、左右の人差し指がななみとちり子に警告を出す。会話に参加できていない。加点狙いのデスソースが裏目に出てしまった。
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