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家族のお恥ずかしい所をお披露目しました。
ですが、やってる当人らは真面目そのもの、瞬間は文字通り食うか食われるかに緊迫しています。羞恥心がありません。それが恥というのかもしれないけど。
シーンが変わり、教室へ。
昼休みまで残り十分。
料理好きな僕の母が作る弁当は有名。品揃えだけではなく、サイズがざっと言って三人前。僕が母にお母さんの料理を皆で食べたら好評だったと言ったがためにサイズが大きくなっていった。
皆で食べたなんて小綺麗に表現してみたが、現実はそうじゃない。どうして僕の周りはこうも食べ物に対して野獣の嗅覚を持っているのだろう。
エントリー表
僕の一つ前の座席 野球部 田岡
窓際最後尾 柔道部 西島
中央最前列 演劇部 百合子
特別枠、隣のクラスの不良 佐伯
場所が違うと戦い方が違う
限られた弁当は良質な具材を争う。無謀な、取り合う肉弾戦ではなく頭脳戦
百合子が後ろを振り向いて合図を送り、僕の前の田岡がいち早く教科書をしまう。西島は離れたところで田岡の行動を察知して教師に見つからないように席を離れ四つん這いになり行進。授業をさっさと抜け出している隣のクラスの佐伯が後ろのドアの外で様子を伺っている。日々の家族との切磋琢磨に比べれば屁でもないと僕は余裕で構えてやる。
オッズ
ポジションがキャッチャーの田岡 五倍
大柄な相手に練習する小柄な柔道戦士の西島 十二倍
巧妙なミステリートリックのオリジナル脚本を書ける 百合子 三倍
不良は不良という佐伯 二十五倍
オセロが得意な僕 二倍
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