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あの日から、毎日また仕事に追われた。 気がつくと、あの体験からいつの間にかもう2ヶ月が経過している。 あの2ヶ月間は一華にとって神様がくれた休暇のようになっていた。 獣人界を思い出すと、今は暖かいよりもとても胸が苦しくなる。 今もまだ、この世界に存在しないものへの恋心がしっかり存在していていた。 あの世界の話を誰かに言っても信じてもらえないだろうし、時間が経過していく度に、最近では一華も夢ではない、現実だったと自信がもてなくなってきていた。 当直で休憩中、ため息をつきながら病院の屋上にあがる。屋上から街を眺めていた。静かな夜に、梟が鳴いている声が耳に残った。 仕事以外の時はどうしても、一華はキョウの事を思い出す。だから、忙しい毎日がありがたかった。 ーー今日は身体がきついな。風邪でもひいたかな。当直明けは早く帰ろう。 朝になり自宅に帰ると倒れるように部屋で眠った。 一華は身体を酷使していた為、風邪をひき、3日程高熱がでて寝込んだ。 一華には珍しく大人しく部屋で寝ていた。 ーーコツコツ。コツコツ。 夜中の2時過ぎ、夜もふけているが、一華の部屋の窓から音がする。 一華は、窓の音が気になり、起きて音がするカーテンを開けた。 すると1羽の白い羽のきれいな梟が、窓の手すりにとまっている。 一華は驚いたが、予想外の来訪者に億劫もせずにすぐに窓を開けた。 「かわいい……」 一華は微笑み梟の背中をやさしく触った。 梟は、背中を摩られ気持ちよさそうに目を閉じ、じっとしている。 「キョウみたい……」 一華は梟にキョウを思い出し、呟いた自分に驚いた。 「何でキョウとか言ったんだろ。キョウの梟の姿なんて見た事がないのに……。あたし重症だわ」 一華は苦笑し、梟を触るのをやめた。 梟は一華を丸い目で見て、嘴で一華の指を優しくつつく。 「君も早くお帰り」 窓を一華は閉めたが梟は全く動かない。 そのうち好きな所に飛んで行くだろうと思い、一華はまたベットで休んだ。 しばらくして目が覚めた。時計はAM5時を回っていた。 梟が気になり閉めた窓を見ると、梟は動いている気配もなく、こちらをじっと見ている。 一華と目があうと梟は、窓をコンコンとくちばしで叩く。 一華は苦笑し、ベッドから起き窓を開けた。 「どうしたの?帰らないの?」 一華は答えるはずもない梟に話しかける。 梟は一華の腕に乗り、肩までかけ登った。 そして、一華の頬に軽く嘴を当ててキスをした。 一華は一連の流れに驚き梟を見る。 すると梟は自分の前に来た一華の唇と自分の嘴をそっと触れさせた。 一華は全身に電気が走り一瞬目を閉じた。
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