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「なんで、生きているの」
「これはつれないことを。あの涙は嘘でしたか」
水崎はニヤリと笑う。
「私も俳優をやってみたくなりましてね」
「何よそれ。どっちかっていうと、やってることは演出家じゃない」
「なるほど、確かに」
結局わたしはこの男にいいように振り回されただけだったようだ。すべてはこの物語を盛り上げるための演出。大がかりな舞台が、今幕を閉じようとしている。
「何はともあれ、おめでとうございます、姫」
「はいはい、おめでたいですよ」
水崎はわたしたちに仰々しくお辞儀をすると、くるりと背を向けた。
「皆様も、この度はおめでとうございます。両国が永久にあらんことを。これは私からの贈り物です」
水崎は参列者に向かって頭を下げ、指を鳴らした。次の瞬間、天井から一斉に真っ白な花びらが舞い降りてきた。幻想的で美しい、御伽の世界。透き通るような純白のフラワーシャワーの中で、わたしもこの世界の平和を心から願った。
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