(3)

1/6
前へ
/54ページ
次へ

(3)

 わたしは自然とため息をついていた。ベッドに腰掛けて、部屋の様子を眺めてみる。  確かに、夢にしてはよく出来ている。空気感や家具などのディテールなど、実に細かくて、現実のものとしか思えない。でも、自分が置かれたこの状況は、どう考えても非現実だった。  ベッドに横になってみると、信じられないぐらいフカフカで、自分がいないみたいな感覚に陥った。このままもうひと眠りしちゃおうかな、そんなことを考えて枕元をみると、そこに本が一冊置いてあるのに気づいた。  それは、豪華なカバーの付いた日記帳のようだった。人の日記を読む趣味はないが、わたしはなんとなく頁をめくっていた。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加