11人が本棚に入れています
本棚に追加
観覧車の中では、陽子と二人っきりだ。
ゆっくり、観覧車が上がり始めると、陽子が、呟いた。
「観覧車に乗るのは、久しぶりだ……。死んだ旦那と、よく乗りに来たよ……」
オレは、それを聞いて、少し、胸がざわついた。
陽子と、オレの知らない男が、一緒に寄り添っている場面を想像する。
オレは、思わず訊いていた。
「……どんな男だったんだ? いい男だったのか」
それを聞いて、陽子が笑った。
「いや、アンタほど、イケメンじゃなかったよ。でも、気のいい男だった」
観覧車は、てっぺんまで来た。
夕焼けが、綺麗だった。
「オレは……」
最初のコメントを投稿しよう!