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彩は 白が 保護した最初の子どもである。 血は繋がっていないが 譲り受けた子どもでも 盗んだ子どもでも無い。 拾った子ども。 国命令で捨てられた生まれたての赤子を拾って育てた。 彩の命は母親のお腹から出た瞬間に許されざるモノとなり、やがて破棄された。 生まれた瞬間にゴミと変わった命に、白は彩と名付け、自分が地上で生きた頃に与えられた苗字をつけた。 白がゴミに変わった時、白は大人だった。 大人の白は生きることをネグレクトしても簡単には死ねない。 強い意思を持って自らを破棄することを決めた朝、最後に見納めようと、真っ白な雪景色の中を歩く道すがら、沢山のゴミを見た。 だが、雪が積もるゴミ捨て場で、これほどに元気に泣く生きたゴミを見たのはその日、いやこれが初めてのことだった。 鮮やかな夕焼けに白い雪が反射して赤子の真っ黒な肌を光らせる。 白が古来より〝悪魔〟と忌み嫌われし呼ばれた赤子を抱きしめた。 ゴミ?人間じゃないか! 悪魔?天使じゃないか! 赤子を抱きしめると真っ黒だった白の心に(イロ)が差し込んだ。
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