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第1話「ぐうの音も出ない!!」
──ねえ。もし自分の運命を知ることができたら、どうする?
「なんで……?なんでそんなひどいこと言うんですか!?」
「事実でしょ。私はもう、終わりにしなくちゃいけないの。こんなこと」
──『運命辞典』って知ってる?この学園のどこかにあるんだって。
──そこにはね、その人の運命が書かれてるの。いつどこで生まれて、いつ誰と結ばれて……いつどうやって死ぬかまで。
「止めはしない。ただ、その選択を後悔しないようにすることだ」
「ど、どうして……止めないんですか……!?どうして……!」
──『運命辞典』は絶対なんだよ。破っても燃やしても、そこに書いてある運命は変えられない。だってそれは運命だから。
「いずれこうなるだろうと思っていた。私たちは、こうなる運命だったのさ」
「運命って……バカなこと、言わないでください」
──だから、もし『運命辞典』を見つけても、開けない方がいいよ。だって自分の運命のすべてを知って生きてくのって……。
「それじゃあね。私たちは、楽しかったよ」
「……」
──死んでるようなものじゃない?
「さようなら」
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