え、え、え。

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 ***  幼稚園の時から、私と紫衣ちゃん、実花子ちゃんは仲良しだった。小学校に上がってクラスが離ればなれになってしまった今でも変わらない。というのも、私達三人は親がいわゆる“親友”というやつで、母親同士が非常に仲良しだったのである。その経緯で同い年の子供三人も一緒に遊ぶことが多く、仲良しになったというわけなのだった。  いつも何かの遊びを言い出すのは、リーダー気質の紫衣ちゃんだ。髪が短くてボーイッシュ、小学三年生になった今でも一人称は“俺”。服装も男の子っぽいので、何も知らない人が見たら男の子に見えるかもしれない。  お洒落が大好き、長いウェーブした茶髪が綺麗なのが実花子ちゃん。三年生には見えないくらい大人っぽい。大抵、二つか三つは年上に見える。スタイルがよくて背が高いというのもあるだろう。それこそ、服装次第では中学生くらいにも見えるかもしれない。  で、私、麻衣(まい)はというと地味な眼鏡っ子。二人にくっついて遊びを教えて貰うのがデフォ。大人しいと言えば聞こえはいいが、基本的には二人の金魚のフンだ。とはいえパシリにされてるとかではないし、特に能力がない私のことも二人はけして蔑ろにしたりしない。二人で遊ぶ時は、必ず私のことも誘ってくれる。仲良しで、大好きな二人なのは間違いないのだった。  そう、二人ともけして悪い子達ではないのだ。ただちょっと――ワルガキっぽいところがあるというだけで。  見た目はどっちも可愛い女の子なのに、まるで男の子がするようなしょうもない悪戯が大好きなのである。先生が入るなというところには入るし、登るなというところには登る。かくれんぼの時に校舎の屋根に上ろうとして叱られたのは記憶に新しい。そして彼女達がそういうことをすると、大抵私も巻き込まれることになるのだ。彼女達の“面白そうだから麻衣ちゃんもやろーよ!”攻勢に逆らえないばかりに。 ――また怪談系かなあ。  そんな彼女達のマイブームは、学校の怪談を調べること、らしい。何でも最近、ネット配信で古い児童向けホラー映画を見て面白かったというのが原因らしかった。で、その映画の舞台が学校だったという。うちの学校にも面白い七不思議っぽいのがないか探そう!と思い立って調査している最中らしい。  そのせいで、直近では実花子ちゃんが古い焼却炉の中に落ちそうになってえらく叱られたのだった。うちの学校は随分と年季が入っているので、多くの新しい小学校には無いようなものがたくさんあるのである。あの焼却炉もその一つであるらしかった。多くの小学校にはなくなっている“視聴覚室”なるものもまだ残っている。 「また七不思議捜そう系?」  廊下を歩きながら、私は渋々尋ねた。 「焼却炉とか屋根とか、危ないのはもうやめてよね。私、先生に叱られたり怪我したりするのやだよ?」
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