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え、え、え。
「面白い話聞いたんだけどさあ」
「う」
紫衣ちゃんがそういう風に言う時は、大抵ろくでもない話である。しかも、私だけじゃなくて、実花子ちゃんも一緒の時なら尚更に。
彼女はわかっているからだ。私だけだと、ちょっとした悪い事は全部反対されると。でも実花子ちゃんならば。
「なになに?またちょっと悪い事?おもしろそうね!」
これである。細かい話も聴かないままに乗る。後で先生に大目玉食らうのは、三人一緒だというのに。
そして、紫衣ちゃんが乗り気で実花子ちゃんも乗り気なら、反対派は私だけ。多数決で押し切られるのは目に見えているのだ。何より、ここで自分は反対という顔をして二人に嫌われたくはない。
「……あんまり悪いことならやんないからね?」
私にできるのは、そう言って釘を刺すことだけだ。
大抵、効果なんて無いに等しいのだけれど。
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