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僕の朝は、幼なじみのかなたくんを起こすところから始まります。
「おはよう、かなたくん。学校遅刻しちゃうよ」
スマホのアラームの音と同時に僕はいつも声をかけますが、彼はなかなか布団から出られません。彼は「テイケツアツ」らしく、朝は苦手みたいです。
「朝だよ、がんばれ」
僕が布団をぽんぽんと叩くと、ようやくかなたくんは起き上がってアラームを止めました。だいたいいつも、布団から出るまでに五分くらいはかかります。今日はマシな方です。
「あー、眠い……」
かなたくんはふらふらと立ち上がると、眠そうな目をしたまま制服に着替え始めました。昨日は部活の後、遅くまで勉強してたもんね。しょうがない、しょうがない。
部屋を出てリビングに行くと、テーブルにはトーストとヨーグルトが用意されていました。かなたくんは朝はパン派なのです。
彼はむしゃむしゃと朝ごはんを食べると、中学校に向かいました。テスト前なので、今日から朝練はありません。
教室に入ると、かなたくんの友達がすでに何人かいました。サッカー部の子に野球部の子、かなたくんにはお友達がたくさんいるみたいです。かなたくんは優しいからね、当然のことです。
「おはよう、奏多」
「おはよ」
「今日の放課後、佐々木ん家にゲームやりに行くんだけど、お前も来ない?」
「あー、今日は用事あるから」
「勉強か? 真面目だなあ」
「いや、別のやつと会う」
「彼女?」
「ちげえよ、小学校の時の友達」
「あー、じゃあ俺らの知らないやつか」
「そういうこと」
かなたくんは自分の席に行って、教科書をかばんから机の中に移します。
「かなたくん、歴史の教科書ちゃんと持ってきた? 今日はこの前の振り替えだからね」
中学は先生の都合で時間割が入れ替わるので、正直めんどうです。でも、彼はちゃんと忘れずに持ってきたみたいです。
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