15人が本棚に入れています
本棚に追加
「おう!まゆちぇ、どうした?」
「おとうさん、あーちゃんお腹すいた…」
「そうか。まゆちぇもあんぱん食うか?と、もう一口しか残ってないがな」
…おとうさんは、1個しかあんぱん買ってなかった。
1個しか買ってない。っていうことは、あーちゃんの分はない。
おとうさんが今あーちゃんの目の前で、とってもおいしそうにパクパク食べているあんぱんは、おとうさんの分なんだ。
「いい。あーちゃんいらない」
「なんでだ?腹空かしてるんじゃないのか?」
「あーちゃん、あんぱん、好きじゃないから」
「そうか。なら仕方ないな。お父さんが食っちまうぞ」
そう言って、おとうさんは最後の一口のあんぱんを、大きなお口にパクリと入れた。
あーちゃん、わかってる。
あーちゃん、おとうさんがあんぱんが大好物だって、わかってる。
満足そうにニコニコ笑ってるおとうさん。
おとうさんがゴキゲンなら、あーちゃんはそれでいいよ。
いつもしかめっ面で怖いお顔しているおとうさんがニコニコ笑ってくれるなら、あーちゃんお腹ペコペコでもがまんするよ。
最初のコメントを投稿しよう!