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それから間もなく、学校の行事で部活が一斉に休みの日があった。
放課後、一緒に帰ろうと思い、龍彦が教室まで夕介を迎えに行くと、すでに姿がない。
龍彦は不安に襲われた。
どこに行ったのか不審に思い、自分の教室へ戻る時に、半地下の音楽室の方から、足早に階段を上がってくる上級生に気付いた。
水泳部の水野だ。
彼が出てきたのは、音楽室の隣の音楽準備室の入口からだった。
階段を上がり終えた水野と、龍彦は、8組の教室の前で、ちょうど鉢合わせする形になった。
彼はちょっと口元を歪め、龍彦の顔を軽く睨むようにすると、3年の校舎の方へ、逃げるように去って行った。
……龍彦は、あの部屋に夕介がいる、と直感した。
そのまま階段を駆け下り、音楽準備室の扉に手を掛けた。
……夕介は窓辺にいて、池の方を向いて立っていた。
「龍彦…」
物音にびくっと驚いたように、振り返る。
近付くと、夕介は外れた詰襟のホックを掛けようとしていた。でもうまく掛けられなくて苦心しているようだった。
いつもきちんと留めている学生服の襟のホックと、第一ボタンが外れていた。
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