碧衣と碧斗

1/14
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
深夜0時になった途端に新年&誕生日おめでとう!18解禁!成人おめでとう!メールが一斉に送られてきて通信制限がかかってしまった。 「碧衣(あおい)まだ起きてたの?」 お姉ちゃんが濡れた髪をタオルで乾かしながらお風呂から上がってきた。 お姉ちゃんの名前は愛花(まなか)。八歳年が離れている。 「うん。なんかね、智ちゃんが気になるニュースをネットで見かけたってメールを寄越してくれたんだ。智ちゃんからの返信が来たら大人しく寝ます」 智ちゃんは隣に住んでいる幼馴染みだ。高校は違うけど、幼稚園から中学校まで同じクラスだった。合格祈願をするために朝一番で一緒に神社に行く約束をしている。 メールの着信音が鳴りすぐにスマホの画面を見た。そこには信じられないことが書いてあった。 「どうしたの碧衣?」 「クリスマスイブの日に町裏町に住む四十代男性と、同居していた三十代の内縁の妻が殺害されて六人の子どもも全員刺されて二人のぞいて搬送先の病院で出血多量のため亡くなったっていう事件あったでしょう?警察が何らかの事情を知っていると思われる市外在住の十八歳の長男の行方を探しているって言ってたでしょう?その男性の名前が斎藤(さいとう)碧斗(あおと)なんだって。お姉ちゃん、碧斗くんじゃないよね?同姓同名だけど、碧斗くんとは別人だよね?」 「碧衣、まずは落ち着こう」 「だって、私のせいで碧斗くんがいなくなってしまったんだよ」 「だから何度も言ってるけどそれは違うの。碧斗くんがいなくなったのは碧衣のせいじゃないの」 「お姉ちゃん、もしかしてなにか知っているの?」 「……」 お姉ちゃんは険しい表情で唇をぎゅっと嚙み締めた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!