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まだ家の明かりはついていた。ひとつ深呼吸してから呼び鈴を鳴らそうとしたら、
「近所迷惑だから押す必要はない」
背の高いスーツ姿の男性が家の中から出てきたから驚いた。
「斎藤と名乗る若い男から日付が変わる五分前に電話があったんだ。女の子が助けを求めて訪ねて来るかも知れない。その時は追い払わず、話だけでも聞いてやって欲しい。お願いします。何度も頼まれたんだ。その様子だと緊急を要する事態になっているということだね」
「巽さん、お願いです。家族と碧斗くんを助けて下さい。何がどうなっているのか、誰を信じていいのかもう分からなくて」
ヘッドライトがぱっとついてあたりを煌々と照らした。
「先生」
運転手席の窓がすーと開いて若い男性が顔を出した。
「病院に君島を張り付かせておいて良かった。きみの名前は?」
「あお……」
寒さと緊張でがちがちに震えて声が出せなかった。
「乗ってからでもいい。指で指し示してくれればそれでいい」
男性が後部座席を開けてくれて。一緒に乗り込むとすぐに車が走り出した。
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