28人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
お姉ちゃんがボイスレコーダーを持ってきて机の上に置くと再生ボタンを押した。
「碧斗くん、もしかして怪我をしてる?」
「こんなの掠り傷だ」
「どこが掠り傷なのよ」
何度か肩を庇うようなそんな仕草を見せた碧斗くん。気になって見るとタオルが巻かれてあった。
「病院に行かないと駄目でしょう。今は良くてもあとで来るよ」
ぷぷっと碧人くんが笑い出した。
「やっぱり碧衣だ。碧衣は何も変わっていない。世話好きでお節介やきなところ、昔のまんまだ」
でもすぐに碧斗くんの目付きが変わった。
「黄色?」
「黄色の何かを見たんだと思う。ごめん、思い出せなくて」
「いいよ。誰が犯人か分かったから」
窓に近づきお兄ちゃんに窓を開けると、
「最後に碧衣に会えて良かった。迷惑を掛けてすまなかった。みんなにも怖い思いをさせて悪かったって謝っておいてくれ」
お兄ちゃんを解放すると、ふらふらと庭に下りていった。
碧斗くんの姿が見えなくなり、
「黄色の……帽子?」
頭にぼんやりだけど黄色い帽子が浮かんできた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、碧斗くんは犯人じゃない。母親と弟妹と内縁の夫を殺した犯人は別にいる。その人は碧斗くんの一番近くにいる人で、おそらく碧斗くんのことをこの世で一番嫌っている人。碧斗くんが危ない。警察に連絡しなきゃ。碧斗くんを助けなきゃ」
「どういうこと?」
「碧衣、話しが見えないんだが」
お姉ちゃんとお兄ちゃんが不思議そうに首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!