草原の音

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 家に帰り、ベッドに横たわりながら自分のチャンネルを開いた。  すべての曲に高評価が押されてある。どんな人だろうと期待に胸を膨らませた相手が、隣の席の霧橋涼だったとは。なんと世界は狭いのか。  その事実を知った時は驚きと喜びでいっぱいになったが、気持ちが落ち着いてきた今、正直に言うと複雑な心境だった。  もしかしたら、知り合いだから高評価を押してくれただけなんじゃないのか…?  押したところでそれが涼だとわかるわけではないし、そもそもそんな義理を果たすほどの間柄ではない。とはいえ、自分の曲を気に入ってくれた初めての人がクラスメイトだったというのは、単なる奇跡というよりは同情票のように感じられてしまうのも事実だった。  しかし、そこまで卑屈になる理由もない。何より、聴いてくれた涼に失礼だ。  嬉しさと複雑さでモヤモヤする。本人に聞いてみようかとスマホを取り出して気がついた。 (あいつの連絡先知らなかった……)  明日、連絡先を聞いてみよう。  あの低温な空気をまとった彼がどんな気持ちで自分の曲を聴いたのだろうか。そんな想像をしながらそっと目を閉じた。
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