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重いドアを開け
劇場の中に入ると人はまばらで、
6〜7人分の頭が見えるかなぁ、くらいに思えた。
わたしの靴音がカツン…と鳴った瞬間に全員が一斉にこちらを振り返ったのでびっくりした。
スクリーンの中では今にも男女がハッスルしようとしている。駆け引きのシーンだ。
邪魔にならないように目立たない場所に座ろうと思い、後ろから3列目のはじっこの席に座ると
10秒も立たないうちに男性3人に囲まれた。
映画は見えなくなってしまった。
男性3人がわたしの頭上で、おそらく見つめ合っていたのだと思う。
わたしはこの先が誰か常連さんの指定席か何かで怒られるのではないかという不安と、
ハゲがバレるから上から見ないでくれ〜という気持ちで、目を合わせないように下を向いていた。
しばらくして、
わたしの目の前の席に1人(若そうだった)
後ろの席に1人(不明)
そして1つあけた右隣に1人、40代後半くらいの男性が座ってきて、この人は濡れ場が始まると同時にわたしの隣に席を詰めてきた。
それでわたしに
「遊ぶ?」
と声をかけてきた。
わたしは、遊びませんと即答した。
〜完〜
(続きます)
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