episodeⅠ

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 この暴走族がいなければ音を出すものは何ひとつ無いといってもいいくらい人通りの無い静かな場所だ。しかし、そういった所はこういうやからが集まる絶好の場所なのだろう。腰にはハンドガンとコンバットナイフを所持していて、あわよくば通りかかった人に発砲したり切りかかりそうな勢いで騒ぎ立てている。  そこに2メートルを超えるスキンヘッドの大柄な男が歩いてきた。  暴走族たちはその男を見て「おい、何ガン飛ばしてんだよ。死にたく無かったら金だしな!」と絡んでくる。男はそれを無視し歩いていくが、その態度が暴走族たちの反感を買った。  「テメー!無視してんじゃねーぞっ!」大声を上げコンバットナイフとハンドガンを抜く。  「今日の死体行きこいつに決定ー!見ろよ、こいつビビッて黙ってるぜ」と騒ぐなか、ついに男が動いた。  その巨体からは想像もつかないスピードで暴走族を片手に一人ずつ合わせて両手で2人の首を掴み一気に軽々と持ち上げた。そしてその首の骨をいとも容易く折り2人を殺した。  「何だこいつっ…!!」ビビリながら仲間がドンッと発砲するが銃が全く効かず「フンッ」と殴り飛ばされ一撃で原形をとどめないただの肉塊と化した。  次の日、テレビのニュースで路地裏で30人の死体が発見されたと放送された。  ネオは行きつけのバーとなったハートビートにランチタイムに足を運びテレビを観ていた。  「キリマンジェロ」 マスターはコーヒーを淹れネオに出し「最近いろいろ物騒ですね」と話しかけた。  テレビから流れる情報から死者はこの街を騒がす最近勢力を拡大している暴走族で、その死体は銃などを使われたわけではなくかなり大きな鈍器のような物で殴られでもしない限り不可能な原型を留めていない変死体という事が分かった。  いくらなんでも30人もの人数を原型をとどめない状態に殺すにはそれを超える人数でよっぽど過剰に殴り続けないとまず不可能だ。  そしていくら路地裏でもそこまでの規模の抗争があればさすがに騒ぎになる。 という事はかなりの少数でごく短時間に起きた事件という事になる。 まさか、スーパーソルジャーか?不意にネオの頭にその存在がよぎる。 だとすればサイラスが遂に動き出したことになる。そのデバイスに連絡が入った。   「どうした?」
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