(二)

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 とはいえ堀田さんは長年うちに務めてくれている家政婦だ。俺が物心ついた時からうちにいたし、両親は仕事でほとんど家を空けてしまう。その意味では俺にとってはほとんど母親代わりみたいな存在だった。それにそれだけ長く働いているんだから、そりゃあ堀田さんだってトシをとるし体にガタがきてもおかしくはない。ともあれ、今はゆっくり休んでくれれば良いだろう。  そして俺はハイヤーに乗って出社した。今日の運転手は砂田という黒川の代役でいつも来てもらっている者だった。 (続く)
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