(一)

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 大通りの交差点の横断歩道のすぐ手間に、黒塗りの車が一台停車していた。  俺たち二人はこの車の後部座席に乗り込んだ。  助手席のダッシュボードの上の運転手の名札には「黒川誠」と名前が書かれていた。  この日は土曜日だったが、俺は仕事がまだ少し残っており、これから出社して処理してしまわなければならなかったのだった。そのため会社のハイヤーを利用したのだった。  特にこの黒川という運転手は運転が丁寧で安心できた。だから利用する際には彼を指名していた。彼の方も、今日のような休日出勤でも喜んで出てくれていたようだ。 (続く)
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