初めまして

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 タンポポの綿毛が飛んでいる。どこに行くのだろう。  行先は風任せだ。彷徨った末に新しい土地に辿り着く物もあれば、そうでない物もあるだろう。  生きていると、息が詰まる事もある。  その日は、少し青空の下に出てみたくなった。  ぶらついていると、目の前に緑の土地を見つけた。  農園? いや、農工園?  まだだれにも会っていないが、いろいろな人がいろいろな物を作っている様だ。  自分もここで、何か作れないだろうか。  少し腰を据えたくなった。  もちろん勝手が全く分からない。  誰かと会って話をしたい。が、しかし、他方でそれが怖くもある。新参者の入り込む余地は、果たしてあるのだろうか。  ふと、自分のあと何日なのだろうと思ってしまう事がある。  今の生活で良いのだろうか。  生きる為の生活に、時折嫌になる。  植物は、種を飛ばして、来春に備える。  あの綿毛は、ちゃんと新天地を見つけただろうか。  芽を出す事はできるだろうか。周囲の原生植物達に、馴染めるだろうか。  これまで、その勇気がなかった。  でも、何だか今回は、一歩を踏み出せそうな気がした。  初めまして。     よろしくお願いします。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!