バッドエンドで終わらせない

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「どうして、来てしまったんだ」  声帯も変わりつつあるのだろうか。ややごぼごぼと濁った声で、彼が諦めの言葉を吐く。 「見ての通りだ。魔竜は、受け継がれる呪いだ。倒した者に竜化の魔術が伝染(うつ)り、やがては竜になる」  そう。それはアタシも見当をつけていた事。  魔竜はある時から突然姿を現し、倒しても倒しても蘇ってきた。  どう考えてもおかしいと、旅立つ前に王国の禁書庫を漁った。  すると、とある時代の高位魔術師が、生物の摂理を歪める禁忌を犯し、人を竜にして王国の戦力と成し、近隣諸国への侵略の切り札にしようとした記録が見つかった。  だけど、魔術師の目論見は破れた。生まれたのは、生みの親すら噛み殺す、理性の吹っ飛んだ魔竜だったのだ。
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