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まだ仲間が居るの?
イケボからのイケメンだから今度はイケオジ?
いや、それにしては声が若い。
てか……私、なんだか馴染み始めてないか?
それはそれとしても、声の主はどこ?
「どこ見てやがる、こっちだ」
どこって言われても…目を凝らして見回してるのに人影すら無いんですが?
「それじゃわからへんて、ちゃんと教えたげなあかんよ」
後ろから笑うイケメンの声がした。居るのか、私の見える範囲に。
そうか…上だ!
「だからどこ見てやがる、こっちだっつってんだろ!下!」
下?言われるまま足元を覗くと、そこに居たのはちっっっさいわんこだった。
ええええええええ?なになになになにこの子。
大きさ靴の半分ぐらいやん、めっちゃカワイイんだけど?いっちょまえに威嚇してる?
制服のスカートに隠れて見えなかったんだ、そんなちっっっさいわんこて!
「キャーーーーーーーーー♪」
思わず叫んでしまった、だってだってわんこ大好きーーーーーーーー!
「うるせぇー!」
しゃべってる、おちびわんこがしゃべってる!カワイイ!
よし捕まえよう、うん絶対捕まえる。
気配を察したのか、おちびわんこが私から距離を取った、意外と素早い。でも私はソフトボール部エース、動体視力ナメんな。
相手の動きを先読みして、跳ね回るスピンボールをキャッチする要領で…ここだ!
「なっ!」
視線を乗せた右手はフェイント、本命の左手にまんまと飛び込んできた。
ナイスキャッチ!さすが私
意表を突かれて思わず声を上げるおちびわんこ
じたばたしても時既に遅し。
つーかーまーえーたー
両手でしっかり掴んだからもー逃がさん
暴れても離すもんか、てゆーか近くで見るとますます可愛いー。
思わずほおずり!ほおずり!ほおずりー!
「てめぇこの!はなしやがれクソガキ」
どんな罵詈雑言もそのちびこさで言われたらギャップ萌えるわ。
このままお持ち帰りして毎日眺めて楽しもう、うんそうしよう決定。
あれ?帰るって…どーやって?
そんなことを妄想してたら、
信じられない事が起きた。
おちびわんこが手の中で膨らんでる。
どんどん大きくなって、あっという間に持てなくなった。
私の手から放り出されたその小さな身体が地面に着く頃には、姿が男の子に…変化していた…。
「えええええええぇ?!」
「いちいちうるせぇ!」
いやそんなこと言われても…
理解が置いてきぼりなんだが?
人間になったおちびわんこは私と同い年ぐらい?
あれ?神イケメン程じゃないけど…悪くなくない?
髪がボサボサで、サッカー部とかバスケ部のキャプテンなんかやってそーな…。
そして私は唐突に理解した。
イケボからのイケメン、次がイケオジじゃなかった理由。
「あんた…ショタ枠だったのね」
「あ"?意味わかんねぇし」
悪態選手権日本代表かコイツは
いやそもそもここ日本なのか?言葉は通じるみたいだけど
言葉を話す二足歩行のヒグマに神イケメンと人に化けるわんこて、何でもアリなんこの世界?
「ねーえー、置いてかないでよぅ」
ここでゆるふわキタ?女の人の声だ。
さすがにも~怖がる事も無くなって、落ち着いて声の主をたどった。
木の実やキノコをたくし上げた服に山盛り運んできたその人は
赤い髪を肩まで伸ばし、紫色の瞳をして、中性的な顔で笑っていた。
「あれ?お客さん?」
あハイ、おじゃましてます…
うん…なんかメンバーが勢揃いしたのを感じた。
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