すもももいぶん

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「神隠し…ですか?」 お姉が、いつもの穏やかな声で話しかける 「そや、実物見るのは俺も初めてやけどね。」 答えるのはその隣に座る神イケメン「刺繍」、 (シシュウ)て名前までイケメンか。 「こいつら間違ってここに来ちまったってのか。んで、帰る方法がわかんねぇ…と?」 サッカー部キャプテン(仮)の悪態小僧ちびわんこ「剣」も鍋を囲んで参加している。 「帰りかたなんて見当もつかへんよ、言うたやろ、神隠しなんてレアもん見るのも初めてやって」 困った顔で壁に背中を預けてため息をつく。 なんてか…仕草までイケメンだなこの人。 黙々と火の番をしているイケボヒグマの名前は「屍」。 しかばね…て死体やん、本名かな?だったら親の顔が見たいわ。 名前は悪趣味だけど、作ってくれたキノコ鍋はびっくりするぐらいめちゃくちゃ美味しかった。 イケボで料理上手なくまさんて、かなり良くない?ウチにもひとり欲しいわ。 「困ったなぁ、すずなは学校があるのに。勉強が遅れちゃう…」 いつでも妹のことを一番に心配してくれるなんて、ホント姉の鏡だと思う。 ただ学校は良いけど勉強の優先順位は…低めかなぁ… 「情報集めるしかねぇな、禅のジジィなら何か知ってんじゃねぇか?」 「そやね、零華ちゃんトコも当たってみよか。あそこは人間が多いから、なんか情報が有るかもしれへん。」 この人達…助けてくれるんだ、全然怖がること無かった。 「ありがとう、私達何もわからなくて…ご迷惑おかけします」 お姉もすっかり安心してる。 にしても美男美女にショタの会談ってすごく良い。絵面とってエグいわ~。 「でも剣くん、王様をジジィ呼ばわりはアカンやろ」 「うるせーよ、刺繍だって女王様にちゃん付けはどーなんだよ」 ……はい?なんかおかしな事聞いた気がする、王様に女王様? 「まぁ無駄に長生きしてるジジィだ、こんな時ぐらい役に立ってもらわねぇとな。」 お姉も少し戸惑ってる。 「えっと…皆さんて、すごく偉い人達なんです…か?」 その問いには、剣がぶっきらぼうに答える。 「別に俺たちは偉かねぇよ、そいつの護衛ってだけだしな。」 そう言って、拳から立てた親指で私の相手をしてるこの女の人を指差した。 名前は響(キョウ)、王様の勅命を受け旅をしているらしい。 そして今は、私と絶賛女子会恋バナ中である。 「わ・か・る!わかるよぉすずなちゃん!もーすっごくわかる」 「わかる?わかってもらえる?マジマジ?うれしー!」 響さんて1人だけ女子だから、ゆるふわ系の守られるタイプかと思ったら、全然! 同じ師匠から屍くまさんと一緒に戦闘訓練を受けた達人、しかもなんとお医者さん! お姉並みのハイスペックじゃない? なんてことをキノコ鍋片手に考えてたら、話しめっちゃ聞いてくれるし、しかもわかってくれるし! お姉が最高の相談相手なら響さんは一番の話し相手か?もーなんでも話しちゃうし。 「私はね!ラブラブ甘々も良いし大好きだけどさ、友達とも遊びたいしお姉ともお出かけしたいのさ。二人の時間のためにもね、そこって大事だと思うんよ!なんでアイツわかんないかな。」 私の言葉に何度も頷いて、響さんは答える 「あぁ~、わかる~!好きだからこそわかってほしいのに~、辛いよね~。ギリなんか伝わんない気持ち?ってゆーか微妙に理解がズレるってゆーか…」 「それ!」 思わず響さんの顔をビシッと指差してしまった。 「その微妙~なトコ大事じゃんね!」 年齢は…お姉と同じくらい?なのになんだか同級生の友達みたい。 そんな笑顔の響さんに、勢いに任せて聞いてみた 「響さんの彼ピもなの?」 直球ど真ん中行ってみた てかこの人の彼氏ってどんな男だろ?やっぱあの3人の誰か? ってことはあの神イケメン? いや…悪態小僧と世話焼きお姉さんもワンチャン有るか? 「聞いてくれる?てか聞いて、すずちゃん聞いて!」 軽いな!嬉しいけど。 大きな身振り手振りとくるくる変わる豊かな表情で、響さんは嬉しそうに話してくれた。
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