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目玉が落っこちるほど目を見開いて、眉間に力いっぱいシワを寄せ、目尻を両手で引っ張った変顔で、響さんは話し始めた。
目が、ギロリと音が聞こえるほどの鋭い眼光を放つ
「私のことは壁だと思って、道具として使い捨ててくれればいい」
しかばねくまさんだ!似てる。
てか意表を突かれた、そっちか。
顔を元に戻した響さんが、今度は泣きそうな表情で続ける。
「こんなこと言うんだけどさ、すずちゃんど~思う?」
イヤ…無いわ~。なんとなく言いたいことはわかるし、響さんのこと大事にしてるけどきっと不器用で…とか色々想像しちゃうけど…女の子に対してそれは無いわ~。
「それは…ぴえんだね~」
思わず口に出た。
響さんの泣きそうな顔が、きょとんとした表情に変わった。
あそっか、こっちではぴえん使わないのか。
じゃ今度は両手を目に近付けて
「ぴえん」
興味津々で覗き込んでくる響さん、私の真似をして、両手を目に近付けて
「ぴえん?」
そうそう、私は頷いて答える。
「ぴえん♪」
今度は二人で一緒に
「「 ぴえ~ん♪」」
めっちゃ楽しい!響さん最高。
ずっとお話ししていられる、てかしてたい。
そんな楽しい時間を、不機嫌な声が遮ってきた
「楽しそうだなお前ら…緊張感無しかよ?」
悪態人型わんこが眉間にシワを寄せてこっちに来た。
ちょうどいい、私は空になったお椀を差し出した。
「ん、おかわり」
「あ?」
「おかわり、って言ってんの」
剣の顔が怒りでみるみる赤くなっていくのがわかる、分かりやすいやつめ。
「てめぇ!ケンカ売ってんのか?」
怒鳴られても怖くない、こっちにはこのショタわんこを顎で使える正当な理由がある。
「あんたさっき私のパンツ見たわよね」
「はぁ?なに言ってやがる」
「乙女のスカートの中覗いて、ただで済むと思ってんの?これから響さんだけじゃなくて私にも仕えなさい!ほら、おかわり」
空のお椀を顔の前に差し出すと、剣は言葉を無くしたのか口をぱくぱくさせた。
なに変な顔してんだか。多少イケメンショタだからって、やって良いことと悪いことは有る。
ここはハッキリさせとかないと。
剣が俯いて肩を震わせてる。自分の罪を理解したか?でもそー簡単には許さないよ。
てかおかわり早よ。
剣は突然顔を上げると、一段と大きな声で吠えだした。
「バカヤロウこのクソガキ!てめぇみたいなガキのオムツ見て何が楽しいってんだ?!」
クソガ…?オムツ…?!なにコイツ、何なのコイツ信じらんない!
「こんなかわいい女の子になんて事言うかな、このちびわんこ!信じらんない!」
「うるせぇクソガキ!」
「だまれエロわんこ!」
突然、響さんと刺繍くんが吹き出した。
響さんはお腹を抱えて大声で笑いだした、刺繍くんは声も出せずに地面をバンバン叩いてる。
屍くまさんは顔を背けて手で口を抑えて苦しそう…必死に笑いをこらえてる?
なんだなんだ?何がツボった?
響さんがなんとか言葉を絞り出した。
「え…エロわんこ…エロわんこて…」
刺繍くんは壁をドンドン叩いて大ウケしてる。
「あ…新しい、エロわんこ」
そんなに?そんなに面白かったん?
もっかい剣を指差して繰り返してみた。
「エロわんこ」
とたんに響さんと刺繍くんが地面にひっくり返って転げ回った。二人とも息もできないくらい大爆笑。
屍くまさんは完全に背中を向けて、漏れる声を全力で抑えようとしてて、なんだかもう倒れそう。
ひとりのこされたエロわんこ。
何?ストイックキャラだったん?知らんけど。
んじゃ今日からは執事風にキャラ変して心入れ替えるといいわ。
それにしてもこのわんこ君…
う~ん…ビジュアル的にはかなりいい線いってるだけに、このデリカシーの無さは惜しいわ~。
きっと彼女とか、いないんだろうなぁ。
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